総務省が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、空き家は全国で849万戸にのぼり、総住宅数に占める割合(空き家率)は13.6%と、過去最高を記録しました。5年前の前回調査でも空き家の問題がクローズアップされ、国や自治体によって様々な対策が実行されてきたが、空き家の増加は止まらないということです。
日本は世界の中でも少子高齢化が進んでいるトップであることはご存知かと思います。ですから空き家や空室は増えることはあっても減ることはないでしょう。だいぶ前から「空き家問題」に取り組む政策はありますが、結果はまだまだな感じです。
これ以上、空き家を増やさないためにできることはなんだろうか、別の視点で考えてみます。
数年前に、まだ日本の空き家問題がクローズアップされていない頃に友人に勧められた本があります。確かな題名が思い出せないのですが、イギリスのシンプルな生き方という感じの題名だった気がします。イギリスでは年代によって住む場所を替えている、ファミリーで過ごす時代、リタイアした時代、高齢になったとき、大まかにいうとそんな感じです。ですから住居も日本よりも割と気軽に変えていきます。
また、そうして住み替えた家は常にメンテナンスされ、古い家でも大切に保全され中古住宅に住むのに躊躇することはないようです。日本のように新築の建売住宅が良いということはなく、しっかりした作りの家を、都度、住む人が大切にメンテナンスすることで次の家主にも同じ心が継承されているようです。そうして中古の、しかし、しっかり美しくメンテナンスされた家をその時の世代に合わせて住み替えるのに抵抗はないようです。
日本では空き地や敷地面積の広い家を相続対策にコンビニや賃貸アパートにすることで節税することがあるようですが、或いは、年金の足しにする考えからそうする場合があるようですが、急激に人口が減っていく日本では、そうした箱ものは余っていくのは想像に難くないことだと思います。
目先のことにばかりを考えるのではなく、未来に何を残していけるだろうか、そんな視点で考える人が増えることで空き家は減っていき、豊かな日本へ返り咲くことができるのではないかと考えます。
FPとして、新しい家を建てる、買う、といった節目では、そうした未来の環境も視野にいれてライフプランを設計したいと思います。
小田原支部 大野利子