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米国によるイランのソレイマニ司令官殺害によって
始まった今回の「中東緊張」。

中東情勢をしっかり把握していない「情報通」の中には
「第三次世界大戦勃発!!」などという過激な意見を
吐く人たちもいて正直呆れました。
(まあ、言論は自由なわけですけど…)

確かにイランの最高指導者ハメネイ師やイラン外相の
事件後のコメントからは「全面対決」が予想されました。

しかし、発言は双方ともに次第にトーンダウン。
イラン外相は「戦争は望んでいない。」と言い、
トランプ米大統領も「軍事力は行使したくない。」と
応じました。
米国は追加の経済制裁で幕引きを図った形になりました。

イランは中東諸国の中では世界14位の軍事力を保有。
シリア・ヨルダン・イラク・イエメンといった周辺国
には過激テロも厭わない親イラン武装組織も整えて
います。しかし、直近の動きを見ると本気で米国と
事を構える気がないのがわかります。

ずばり…イランは密かに開発を続けていた核施設を
トランプの攻撃から守りたいのです。

米国がイランを中東の脅威としているのは核兵器を
保有しかねないからです。

トランプが破棄した「核合意」もこの脅威を未然に
防ぐためにオバマ前大統領がこぎつけたものでした。

核があればこそ、イランは「中東の脅威」なのであり、
核施設が破壊されれば「乱暴者の小国」に成り下がって
しまいます。

イラクへの弾道ミサイルによる報復攻撃は事前通告をし、
米軍に被害がでないように着弾地点も慎重に選定されて
いました。

イラン国営テレビは「米軍の死者は少なくとも80人。」
と報じましたが実際にはゼロだった模様です。

今回の米国の攻撃は、昨年10月に実行された過激組織
IS(イスラム国)の指導者アブバクル・バグダディ
の殺害に次ぐ「テロリスト」掃討の意思の強さを示した
ものであり、テロやテロ国家に対しては「最終的に
軍事力がモノを言う。」ことを実証したと言えます。

これはイランと同じように核開発をちらつかせる北朝鮮
金正恩についても脅威でしょう。
なぜなら米国は「ピンポイント」でターゲットを狙える
ことをはっきりと示したからです。

核施設を温存し、イラン濃度濃縮(核兵器開発)を
進めるであろう、イラン。
そして「瀬戸際外交」を継続する北朝鮮。
米国との「心理戦」はまだまだ続きます。

マーケットについていえば、結局、米国とイランの
今回の応酬は「したり顔で弱気をふくチキン野郎」
たちを震え上がらせただけに終わりました。(笑)

「石油」が大きな収入源である中東諸国については
石油価格が高騰しても売れなければ金にならないわけで
あり、そこを米国のシェールオイルに「漁夫の利」を
さらわれる可能性もあります。

常に「落し所」を考えながらの応酬は今後も続くでしょう。

だから…中東や石油で売られたら「買い」なのです。
「誰も奈落の底に落ちたくはない。」
のですから。

小田原FP事務所
前向き!!投信ゼミナール!!代表
加藤 肇