タイトルとは無縁の様に感じると思いますが、最近の話題と言えば「新型コロナウイルス」。

テレビや新聞で目にしない日はありません。世界的に広がっているので経済市場に大きな影響を与えており、企業の減益拡大にまで影響が出始めております。いつになるかはわかりませんが、終息の日は必ず訪れます。それまでは企業判断のひとつである株価は一喜一憂のことと思います。

さて、「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みが4月に行われる公的年金の支給額の改定に発動されます。これは何かというとペットボトルに入っている満水の水を将来に渡って上手に分け合うイメージです。年金の実質的価値は目減りしますが、将来世代が受け取る年金の水準を守る効果はあります。

厚生労働省は1月に公的年金の支給額を0.2%引き上げると発表しました。その根拠として物価は0.5%上昇、賃金は0.3%上昇しており、本来であれば年金額も賃金の伸び率に合わせて0.3%に引き上げられていましたが、今回の発動により、0.1%が将来世代の年金に回るという事になりました。

具体的数字は国民年金(基礎年金)の受給額は65,141円/月(前年度比133円増加)。0.1%抑制による影響は65円/月抑えられる。厚生年金は現役時代の賃金などにより差異はあるが、平均的年収(530万円)で受給額220,724円/月(前年度比458円増加)。0.1%抑制による影響は220円/月抑えられる。

年金は現役世代が納める保険料で成り立っております。少子高齢化や医療技術の進歩などから年金を受け取る高齢者が増えていく一方です。「将来、保険料が際限なく上昇しかねない」の不安視から2004年の税制改正で保険料の上限を決定しました。その代わりにもらえる年金額の水準を少しずつ下げていく仕組み、すなわち「マクロ経済スライド」です。物価と賃金の両方が上昇しないと発動しないことになっております。今回で3度目になりますが、発動しなかった年が多かったことで現在は当初の想定よりは多少、多めにペットボトルから水が流れている状況です。

理事:上井邦裕